今回はVT250 SPADAのトランスミッションの構造を見ていきたいと思います。ギヤが切り替わる仕組みについて調べたので参考にしてみて下さい。

トランスミッションのはたらき

トランスミッションはENG下部のこの位置に入ってます。ENGの出力がクランクシャフトからメインシャフトに伝わっていきます。
このメインシャフトからの動力はギヤを介してカウンターシャフトに伝えられており、このときギヤの歯数の差を利用してエンジンからの回転数やトルクを変化させるのがトランスミッションの役割です。

トランスミッション

トランスミッションの構造

トランスミッションは以下のような構造になっています。
メインシャフトから入った動力をギヤを介してカウンターシャフトに伝えています。
※数字はギヤの段数を示しています。

トランスミッション ギヤの説明
トランスミッション ギヤの説明

ギヤには内周部にスプラインが切ってありシャフトと一体となって回転するギヤとスプラインがなく単独では空転するギヤがあります。

種々ギヤの構造
種々ギヤの構造

また、以下の3つのギヤは左右にスライドできるようになっており、これらのギヤを動かし隣のギヤと連結させることでギヤを変更していきます。

スライドするギヤ
スライドするギヤ

1速を例にして、ギヤの動作を見てみます。
メインシャフトの1速(M1)はシャフトと一体になっているため、シャフトと供に常に回転しています。このときカウンターシャフトの1速(C1)も一緒に回転しますが、内周にスプラインがないため空転しています。この状態だとカウンターシャフトへ動力は伝わりません。

ここで、カウンターシャフトのC5ギヤをC1ギヤの方にスライドさせます。するとC1ギヤの穴部にC5ギヤの凸部がはまり連動するようになります。C5ギヤの内周部にはスプラインが切ってあるためカウンターシャフトにも動力が伝わります。このように
メインシャフト→M1ギヤ→C1ギヤ→C5ギヤ→カウンターシャフト
と動力が伝わっていきます。このような仕組みで他のギヤでも動力が伝わっていきます。


すべてのギヤの動作をアニメーションにしたので確認してみて下さい。

ギヤの動き

また、M1ギヤの歯数は15、C1ギヤの歯数は41です。このためM1ギヤが1回転するときC1ギヤは$\frac{15}{41}=0.36回転$します。これはメインシャフトが1回転するとき、カウンターシャフトが0.36回転することになり回転数が減速したことになります。
この時トルクは$\frac{41}{15}=2.73倍$になっています。このトルク増幅率を減速比と呼びます。
各ギヤの減速比は以下のようになっています。

ギヤ減速比(トルク増幅率)
1速2.733
2速2.000
3速1.590
4速1.333
5速1.153
6速1.035
各ギヤの減速比

低速ギヤほど、出力トルクが大きくなるようなギヤ設定になっていますね。

まとめ

今回はバイクのギヤが変わっていく仕組みについて調べてみました。参考になれば幸いです。