今回はバイクでコーナーを曲がる際のコーナリング速度$v$とバンク角度$α$の関係について考えてみます。コーナーを早く駆け抜けるためには何が必要なのでしょうか。
前提条件
以下のような半径$r$のコーナーを曲がる状況を考えてみます。
記号は以下のように定義します。
$g$:重力加速度[m/s2]
$v$:コーナリング速度[m/s]
$r$:コーナー半径[m]
$m$:バイクの質量[kg]
$α$:バンク角度[deg]
$F$:遠心力[N]
コーナーを曲がるバイクには常に遠心力$F$がかかっており
$$F=m\frac{v^2}{r}$$
となります。続いてバンクしているバイクに作用する力についてみていきます。
バンクしているバイクにかかる力
バイクには遠心力$F$のほかにも重力$mg$がかかっています。それぞれの力をタイヤのラジアル方向とスラスト方向に分解すると下図のようになります。
スラスト方向に関して
$$mg\sinα=F\cosα$$
$$mg\sinα=m\frac{v^2}{r}\cosα$$
これを$v^2$について解くと
$$v^2=rg\frac{\sinα}{\cosα}=rg\tanα・・・①$$
ここでバンク角度$α$と$\tanα$には以下のような関係があります。
グラフのようにバンク角度$α$が90°に近づくほど$\tanα$は大きな値をとるため$v^2$も大きくなります(①式参照)。
このためコーナリング速度$v$を大きくするにはバンク角度$α$を大きくするべくバンクさせていけばよいことがわかります。ただ、バンクさせすぎると、路面とタイヤ間の摩擦力が小さくなっていきタイヤが滑ってしまい転倒してしまいます。数式だけではわからない絶妙なバランス感覚が必要になってきます。
※参考にバンク角度$α$が足りない状態でコーナーに侵入すると、
$$F\cosα>mg\sinα$$
となり車体が立ち上がってしまいます。するとコーナリングフォースが得られなくなるため、コーナー外にふくらんでいってしまいコースアウトしてしまいます。一般的にバンク角度$α$が大きくなるほどコーナリングフォースも大きくなっていきます。コーナリングフォースについてはこちらを参照してみて下さい。
上手い人と下手な人のバンク角比較の動画を作ってみました。よかった見てみて下さい♪
まとめ
今回はコーナリング速度とバンク角度の関係について考えてみました。
コーナリンク速度を大きくするには、できるだけバンク角度を大きくする必要があることがわかりました。
※一般道では安全第一で運転をして頂き、限界性能を探るのはサーキットなどのクローズドコースで実施してください。