今回はクーラントの交換方法について説明します。

必要なもの

必要なものは以下になります。

部品個数
ウルトララジエター液 原液(1L)1個
精製水(500ml)2個
シーリングワッシャ(90463-ML7-000)2個
オイルジョッキ(2L)1個
バケツ1個
ホンダ ウルトララジエーター液(原液) 1L品番08CLA-E020S1
ホンダ90463-ML7-000 – ワッシャー(6-5mm)
キタコ(KITACO) オイルジョッキ(2L) 汎用 キャップ付属 980-0601200

冷却回路の構造について

初めに冷却回路の構造について簡単に説明します。冷却回路は以下のような構造になっています。

冷却回路
冷却回路

ラジエーターで冷却されたクーラントはEng内部を冷却します。Engから熱をうばい温度上昇したクーラントはラジエターに入り再び冷却されます。
また、この冷却回路とは別にリザーブ回路もあります。これは後述する冷却回路内のクーラント量を調節する機能を担っています。

ラジエターキャップの働き

続いてラジエターキャップの働きについて説明します。
冷却水は熱いエンジンブロックを冷却しているため、20℃~約100℃まで大きく温度変化します。一般的に液体は高温になると体積が増加する性質があります。VT250 SPADAの場合、回路内に約1.4L(1,400cm3)のクーラントが入っているため以下のように体積増加が発生しています。

温度[℃]体積[cm3]質量[g]密度[g/cm3]
20℃1,4001,4811.06
100℃1,4671,4811.01
67←体積増加量
体積増加量

20℃→100℃で67cm3(約コップ半分くらい)の体積が増加することになります。
ラジエターキャップではこのクーラントの体積変動に応じて圧力弁が開いたり閉じたりしています。この圧力弁の動きにより冷却回路内のクーラント量が調節されています。

以下のようにラジエターキャップには主圧弁と負圧弁という2つの弁がついています。

■冷間時

冷間時

ENG始動直後など、冷却水が冷えている時には主圧弁も負圧弁も閉じており、冷却回路とリザーブ回路はつながっていません。

■高温時

高温時のラジエターキャップ
高温時

クーラントが高温になり体積が増加するとクーラントが主圧弁を押し上げリザーブ回路にクーラントが流れていきます。

■温度低下時

高温から温度が下がっていくときのラジエターキャップ
高温から温度が下がっていくとき

高温だったクーラントの温度が下がっていくとクーラントの体積が減少し、冷却回路内の圧力が低下していきます。すると、負圧弁が開きリザーブタンクからクーラントを吸い上げます。これにより水位が満タンの状態が維持されます。

このような仕組みでクーラント量が調節されているため、リザーブタンクの中にクーラントを規定量いれておくことが大切です。リザーブタンクが空っぽだと冷却回路内にエアを巻き込んでしまう恐れがあります。

次から具体的な交換手順に入っていきます。

クーラントの濃度調整

まず、交換用クーラントの濃度調整を行います。Honda純正のロングライフクーラントには
①100%濃度(原液)
②50%濃度(希釈液)
の2種類があります。
VT250 SPADAの標準濃度は30%なのでこれを目安に調整します。

以下に希釈量を示します。※濃度調整のやりやすさを重視し、希釈後濃度が33%になっています。

希釈前希釈後
濃度全体容量濃度加える水の容量全体容量
100%0.5L約30%(33%)1.0L1.5L
50%1.0L約30%(33%)0.5L1.5L
濃度調整方法

オイルジョッキに簡易的なメモリがついているのでそのメモリを使えばOKです。濃度が多少ずれたとしても問題ないので大雑把で問題ないです。※きちんと確認したい場合は濃度計が販売されているのでそちらで確認できます。

クーラントの抜き方

※クーラントの交換は必ず車両が冷えている状態で行って下さい。走行直後など車両が熱い状態で作業すると熱くなったクーラントで火傷をする危険があります。

まず、ラジエターキャップのネジを外してラジエターキャップを開けます。

ラジエターキャップのネジ
ラジエターキャップのネジ

外すとこんな感じになっています。

キャップを外した状態
キャップを外した状態

続いてドレンボルトを2か所外します。1か所めはここです。

クーラントドレンボルト1
クーラントドレンボルト1

外すと勢いよくクーラントがでてくるのでバケツで受けます。

排出されるクーラント
排出されるクーラント

クーラントがでてくる様子はコチラ↓

排出されるクーラント

2か所目はマフラーのそばにあります。

ドレンボルト2
ドレンボルト2

外すとこちらからもなかなかの量のクーラントがでてくるのでバケツで受けてください。

新旧クーラントを並べてみました。Honda純正は青色です。もともとバイクにはいっていたのは緑色でした。Honda純正ではなく汎用品のクーラントが入っていたようです。

新旧クーラント比較
新旧クーラント比較

新しいクーラントの注入

2か所のドレンボルトを取り付けてください。
ドレンボルトにはシーリングワッシャがついているのでこちらを新品にして下さい。
シーリングワッシャには銅が使われています。銅は柔らかいのでつぶれて密着することでシール効果を発揮します。
※私は手持ちがなく再利用してしまいました。。クーラントは漏れていませんが、なるべく新品にして下さい。

シーリングワッシャ
シーリングワッシャ

ドレンボルトを取り付けたらクーラントを注ぎ入れます。

クーラント注入

回路内にクーラントをまわすため、Engをかけます。Engをかけると液面が下がるので再び口元までクーラントを入れて下さい。

ENGかけてクーラントをまわす
ENGかけてクーラントをまわす

ここまでで、約1.1L(1,100cm3)のクーラントを注入しました。

クーラント注入量
クーラント注入量

さらに冷却回路内のエア抜きをします。ラジエターキャップ+キャップ固定ネジをとりつけ10分間ほど暖機運転をして下さい。※これ以降、ラジエターキャップを開けないで下さい。暖機運転によりクーラントが熱くなっているのでキャップを外すと、熱いクーラントが噴き出し火傷する恐れがあり大変危険です。

暖機運転

最後にリザーブタンクにクーラントをいれておきます。バイクの左側のカウルを外すと、リザーブタンクにアクセスできます。液面チェッカーを一度きれいにふきとったあと、もう一度キャップをはめて液面を確認します。下限と上限の間に液面がきていればOKです。

液面確認
液面確認

まとめ

今回はクーラントの交換方法についてまとめました。よかったら参考にしてみて下さい。

おまけ

古いクーラントを確認してみるとけっこうゴミがはいっていました。。どこから混入しているのか。。
ゴミを除去するためにも定期的にクーラントは交換したほうがいいなと思いました。
2年に一度くらいの目安で交換しようと思います。